ラバーダム防湿
いつも最善で最良の治療を目指していきたいと考えています。そのために小川歯科クリニックは、ラバーダムを患者様全員に使っています。皆様はラバーダム防湿法をご存知ですか?
お口の中には細菌が住み着いていることはすでにご存知だと思います。それは湿り気や、栄養、酸素などが非常に細菌の繁殖に適している環境なのです。特に唾液は、皆様が思っているよりもきれいなものではなく、細菌が無数に生息する、感染をうけています。
ですから、本来、歯の根の中の神経や骨は、唾液とは直接触れない場所なので、無菌的なのですが、治療中に唾液が触れた時点で細菌が侵入し感染をおこしてしまいます。
細菌を取り除こうとして一生懸命治療しているのに、唾液に触れることで新たな細菌感染が起きてしまうのです。
つまり、歯を治療するということは、体の内部(臓器や血管・神経など)の外科手術をしていることと全く同じで、お医者さんのように、いかに歯科も無菌的に処置をするか、 感染の危険が少なくできるかが重要になります。
そこで私たちは、唾液などから大切な歯を守るためにラバーダム防湿法を行っています。
ラバーダム防湿について
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ラバーダム防湿法は、ゴムのシートに小さな穴を開けて、そこに歯の頭を出して、金属製バネ(クランプ)や糸ようじ(フロス)などで歯に固定する方法です。つまりラバーダム防湿法は、唾液や細菌から歯を隔離し、歯のための小さな手術室を作る方法です。
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ラバーダム防湿の歴史と日本で普及しない理由
ラバーダム防湿法の歴史は古く、アメリカのDr.Barnumが1864年に考案したといわれ、海外では、歯の根の治療を専門としている歯科医師の90%以上が使用しています。 しかし日本では、その普及は極めて低く、5%以下と言われています。
その理由の一つとしては、諸外国にくらべて歯の根の治療の保険診療報酬が安価で、手間がかかるなどの問題があるからです。
さらにラバーダムを使用していない理由に、ラバーダムを使用しなくても、臨床的には、すぐに問題が発生しないためです。しかし、長期的な予後では、ラバーダムを行った歯の根の治療の成功率が上がるのに対して、ラバーダムを使用しないで治療を行った場合の成功率は明らかに低いとされています。小川歯科クリニックでは、手間と費用がかかっても、歯の根の治療の前準備で、可能な限りラバーダム防湿法を行っています。ラバーダム防湿は歯の根の治療を成功へと導く重要な条件であり、医療人として省いてはならないと考えています。
ラバーダム防湿法の有効性
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1治療歯の清潔な状態を作り保ちます
唾液を排除することで、歯は清潔で乾燥した状態を保つことができます。また、治療に必要な薬も口の中に流れ出る危険が少なくなります。
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2治療を丁寧に行うことができます
感染源となる唾液を排除する以外に、口の中の組織(歯肉・口唇・舌・頬)の排除と保護が瞬時に行えます。ラバーダムをしなければ、歯科医師が左手で口唇や頬を押さえ口の中を見やすくする必要がありますが、その役割をラバーダムが補います(手1本分の働き)。自由になった左手が使えるので、より丁寧な治療が可能となります。
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3治療を受ける安心感
ラバーダム防湿法をご理解していただくことで治療を安心して受けることができます。治療器具の誤嚥の予防にもなります。
ラバーダム防湿の欠点
出来ない場合があります
鼻で呼吸できない方、アゴの弱い方、開けているのが辛い方には適さないことがあります。
ラバーダムはゴムのマスクを、金属製のバネ(クランプと言います)やフロスなどで歯に固定します。痛くはありません。息苦しくもありません。むしろ大きな口を開かなくてもいいので快適です。
ゴムのマスク(ラバーダムシート、一枚約100円)は使い捨て(ディースポーザブル)です。